第10回エシカルインタビュー <川井材木店(大子町)>

茨城県内のエシカルな取組を紹介する「エシカルインタビュー」。

今回は、製材業の傍ら、普通なら捨てられてしまうものの中に命を見出す唯一無二の創作活動を行い、その作品が「いばらきデザインセレクション」で選定を受けている、有限会社川井材木店を訪ねました。

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洞のVeg-Caseを手にする川井さん

川井材木店について

川井材木店は林業のまち・大子町で三代続く製材所です。代表の川井勇さんは大学卒業後に全国の木材・建材を扱う老舗木材商が集まる埼玉県戸田市で修業。大子町に戻ってからは、地元林業発展のため、これまでに培ったマーケティングの知見を生かし、「需要」に視点を切り替え、八溝材のブランド化や他地域との差別化に取り組みました。

そうした本業の一方で川井さんが力を入れているのが創作活動です。工場に一歩足を踏み入れると、うずたかく積まれた端材や廃材、加工が難しそうな曲がりくねった木材の山。この山の理由を尋ねてみると、「何かに使えるんじゃないかとアイデアを考えるのが楽しくて、捨てられません。作りたいものがあって木材を探すのではなく、すでにある木材を生かすために作るものを考える。この逆転の発想が私流ですね」とのこと。

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この工場でさまざまなアイデアを形にしていきます

自然の穴のあいた木材を生かした「洞のVeg-Case」

県内の間伐材でものづくりをするお母さんたちのグループ「もりとわ」から依頼され、右利きでも左利きでも使えるよう両面に溝のある、グリップのついた洗濯板「森のやさしいセンタク」を2019年から製作しており、この洗濯板の納品の際に使っていたのが、自然の穴のあいた木箱でした。この木箱の誕生のきっかけについて、代表は、「風雪にさらされる木々は傷がついたところから菌が入り、空洞ができることがあります。そうした木々は加工が面倒なので処分されてしまいますが、もったいない。この空洞を持ち手にしたらいいと思った」とのこと。

この木箱は「もりとわ」の皆さんに評判がよく、川井さんは改良を重ね、より使い勝手のいい野菜箱に進化させ、これらのシリーズは、「洞(うろ)のVeg-Case(ベジケース)」として、2022年に「いばらきデザインセレクション」選定を受けました。

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放置木材を薪に加工する川井さん

今後の展開について

ペーパーレスが進んだ一方、これまでパルプ材として需要のあった平地林の木材の使い道が減ってしまいました。川井さんは、こうした放置木材の活用を考えています。 その中でアイデア商品も考案しました。

その一つ、「みんな主役だな(棚)」は奥行きを変えられる本棚。本棚のサイズに合わせて本をしまうのではなく、本のサイズに合わせて本棚の奥行きを変えます。これも川井さんの得意技、「逆転の発想」のものづくりです。

「これからも作りたいものが先にあるのではなく、使いたいものを使うために何が作れるかという逆転の発想で、誰も作っていないものを作り続けて行きたいと思います」と熱く語ってくれました。

●有限会社川井材木店
アクセス 茨城県久慈郡大子町大沢1238
電話番号 0295-74-0385